関空丸善でジョイスに再会
所用で大阪に行ってきて先ほど帰ってきた。帰りは時間がなく梅田でバタバタと。毎回梅田でバタバタとしている。世界一早足の大阪人に負けじとさらにバタバタと地下街を加速させている途中で、
齊藤さんのブログで気になっていた古本屋・萬字屋書店を偶然見つけてしまった!どうしよう。フライトを逃すわけにはいかない。でも機上で読む本として持参した『坂口安吾全集4』は、最後の中上健次の解説の途中まで既に往路の便で読んでしまっている。何か他の本をちょうど読みたいと思っていたところだし。ここで立ち止まらなければ、一生縁が無いかもしれない。とりあえず店内へ足を踏み入れる。なるほど狭いわりにコンパクトに良さげな品揃えをしている。が、慌てているので物色する気持ちの余裕が生まれない。店内を一周して出てきてしまった。
結局、関空で少し余裕ができたので、関空内の書店を探す。見つけたのが、なんと丸善だった。空港内の書店といえば、娯楽系文庫本、雑誌、ビジネス新書などが定番イメージで、この書店もその例に漏れずそうなのだが、あきらめずにソソる本を探していると、さすが丸善?なのか、哲学・思想コーナーが設けられ、ウェーバーやら、『オリエンタリズム』やらが結構良い場所に置かれている。丸善といえば梶井の『檸檬』だが、残念ながら置いていないらしい(『蟹工船』はあるのにね)。
で、最終的に購入したのが新潮文庫『ダブリナーズ』(ジェイムズ・ジョイズ著・柳瀬尚紀訳)。ジョイス初期の短編集は、あの『フィネガンズ・ウェイク』を訳してしまった柳瀬尚紀による新訳だ。かつて文学青年だった頃に同じ新潮文庫の前の版(『ダブリン市民』)を読み、ペイパーパックで原書を読み、所収最後の短編『死せる者たち』の映画化(ジョン・ヒューストンの遺作)を観たりしてきたオイラが素通りするわけにはいかない。
やがてシートに深々と腰を落ちつけ、頁をめくるが、後ろの席の会話が邪魔をしてなかなか集中できない。どうやら偶然席を並べた男2人、WBCの話題をきっかけに盛り上がった様子。仕事をセミ・リタイアし、沖縄には半年程滞在する悠々自適のオジサンと、こちらもそれなりに沖縄歴があるらしきビジネスマン。柳瀬訳ジョイスの合間に2人の沖縄ウンチクが挿入される。これではジョイス先生に失礼にあたるので、機内放送のイヤフォンをセットし、クラッシク・チャンネルを選択する。シューマンはBGMとして良いのだが、曲が終わるたびに壇ふみのナレーションが生真面目に挿入される。特にシューマンについて詳しくなりたいわけでもないのに、こちらも耳につく。ふうむ。でも、こういう読書を昔はよくしていたなあ。
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