『帰れない二人』ジャ・ジャンクー
2000年代以降の中国大陸の資本化を体現してしまうジャ・ジャンクー作品のミューズが、資本に侵食されることに途方にくれながら、広大な大陸を越境し「行って帰る」物語。愛する男の後半の情けなさが中途半端なためか、ミューズが孤立化するのは、是か非か。彼女に銃を持たせれば、それは様にならないはずはないが、引き金を引くことが資本への対抗とならないのは言うまでもない。
『帰れない二人』
監督・脚本:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ/リャオ・ファン
劇場:新宿武蔵野館
2018年作品
2016/11/01
映画は3つの時代を時系列で描く。 1999年、山西省・汾陽(フェンヤン)。小学校教師のタオ(チャオ・タオ)、炭鉱夫リャンズー(リャン・ジンドン)、実業家ジンジェン(チャン・イー)は幼馴染。リャンズーとジンジェンはタオに思いを寄せている。「俺には怖いものなんかない」と自信家のジンジェンがタオに…
2016/10/31
27歳のジャ・ジャンクーによる長編デビュー作といえば俄然興味がわく。グローバル資本主義に対し開放政策をとる中国社会の変化とそこで生きることの有り様を撮り続ける作家は、そのはじまりにおいて、自我と対象との距離の取り方をどう処理したのか。 主人公の小武(王宏偉)はスリの常習犯であり、その振る舞…
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