2019年12月14日
『百年の散歩』多和田葉子
「カント通り」「カール・マルクス通り」「マルティン・ルター通り」・・・というようにベルリンの通りの名前が各篇についた短篇集。「わたし」は「百年」の歴史を現在形で「散歩」する。目にする外部からの刺激のひとつひとつに対し、あるいは異物としてのコトバについて、初発の物語を想像しては戯れる「わたし」の移動が、読む者をも自由にさせる。その徒然でふと記される、待ち合わせしているはずの「あの人」という言葉が、ロマン主義と現実主義の双方として不意を打つ。でも、それはやさしい。
『百年の散歩』
著者:多和田葉子
発行:新潮社
発行年月:
2017年3月30日
Posted by 24wacky at 09:38│Comments(0)
│今日は一日本を読んで暮らした