てぃーだブログ › 「癒しの島」から「冷やしの島」へ › 今日は一日本を読んで暮らした › 『船出(上)(下)』ヴァージニア・ウルフ

2018年06月13日

『船出(上)(下)』ヴァージニア・ウルフ

『船出(上)(下)』ヴァージニア・ウルフ

 モダニズム作家ウルフのデビュー作本邦初訳。ロンドン生まれで世間知らずの若い娘レイチェルを主人公としたビルドゥングスロマン。南米に向けた船上での人々との出会い。到着後のホテルとヴィラ二カ所を拠点に、原住民の棲む奥地へと進む船の小旅行。アメリカへと覇権が移ろうとする大英帝国没落の予兆とオリエンタリズムそのものの眼差し。資本と国家の運動と連動するような性差のまぐわいの無さ。近代小説と「意識の流れ」の折衷。すいすいと読ませる力の源は話の筋によるものではなく、「行って戻ってくる」物語のいくつもの途中で、人物たちの「意識」が交換しているその自由さの強度によるといえないだろうか。

『船出(上)(下)』
著者:ヴァージニア・ウルフ
発行:岩波文庫
発行年月:2017年1月17日


2018/05/20
『千のプラトー 資本主義と分裂症 上・中・下』ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ
 冒頭からリゾームという言葉のイメージの噴出に息が切れそうになる。リゾームとは樹木やその根とは違い点と点を連結する線からなる。それは極限として逃走線や脱領土化線となる。樹木は血統であるが、リゾームは同盟である。リゾームは多様体である。リゾームは生成変化である。リゾームとは定住性ではなく遊牧性で…




同じカテゴリー(今日は一日本を読んで暮らした)の記事
2019年 本ベスト10
2019年 本ベスト10(2019-12-23 21:08)


 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。