てぃーだブログ › 「癒しの島」から「冷やしの島」へ › 高江へ行こう! › 高江「仮処分申し立て」に異議申し立て

2009年02月22日

高江「仮処分申し立て」に異議申し立て

高江ブログにも掲載したが、より多くの人に知ってもらいたいのでこちらにも載せる。

遅くなりましたが17日(火)教育福祉会館にて開催された緊急学習会「高江『仮処分申し立て』に異議申し立て!」のレポートをお送りします。主催は沖縄平和ネットワーク、共催は沖縄県平和委員会、那覇ブロッコリーです。

高江「仮処分申し立て」に異議申し立て
進行は沖縄平和ネットワークのG君
 ネプチューンのホリケンではない


ヘリパッドいらない弁護団事務局長 金高望弁護士のお話の概要

「高江ヘリパッド仮処分事件について」といっているが、正式名称は「通交妨害禁止仮処分命令申立て」という。

仮処分とは何か
日本の通常裁判は判決が下るまでに最低2年、時間がかかる。それでは「権利の実現」がはかれない。それに対し「民事保全手続き」という裁判手続きがある。「民事保全手続き」には「仮差押」と「仮処分」の2種類がる。さらに「仮処分」には、「係争物に関する仮処分」と「仮の地位を定める仮処分」の2つに分かれる。今回のケースは「仮処分」の中の「仮の地位を定める仮処分」という類型に当る。

「仮の地位を定める仮処分」とは、争いがある権利関係について、著しい損害または急迫の危険を避けるために必要がある場合、仮処分をしてほしいというもの。例えば不当解雇のケース。賃金を払ってもらわなければ生活できない場合、賃金仮払い仮処分という処分がある。

「仮の地位を定める仮処分」にはどんな特徴があるか。まず、相手の言い分を聞く機会を設けなければならないのが原則。次に、形式として、公開の「口頭弁論」か非公開の「審尋」のどちらかを選ぶことになるが、それは裁判所の裁量による。ただし、実務的にいって圧倒的に「審尋」が多い。

国の要求は何か
沖縄防衛局の言い分はこうだ。通交妨害を排除し、早く本件事業に着手する必要性がある → 本案訴訟を提起するため準備中だが、時間がかかる → その間事業に着手できなければ国策上の損害が甚大なので、勝訴しても損害は回復困難だ → だから「仮処分」が必要

具体的な要求は以下の通り。建設現場への入口にあたる公道等について、国が通路として使用することを妨害してはならない。テント・車両その他一切の物件を撤去せよ。撤去しないときは執行官に撤去させることができる。その根拠は、国が公道等の通行権を有しているから、というもの。

争点①債権者ら(被告)の妨害の存否
そもそも妨害があったのか。テントや車両は通路を塞いでいないし、人も「抗議」しているだけだし、物理的な阻止ではない。

「債権者ら」がやったのか。国はしきりに「反対派は~をやっている」と書いているが、「反対派」とは何を指しているのか?現場には県内外から様々な人が来ている。それらをひっくるめて「反対派」といっているようだが、その「反対派」と14人の債務者らはイコールではない。そのくせ債務者らが何をやったのか、国は行為を特定していない(これは裁判所からも指摘があった)。これは通常の仮処分ではありえない話しだ。

テントを設置したのは誰か?車両を停めたのは?国は車両10数台を並べて「これとこれとこれを撤去せよ」といっているが、所有者不明と書いてある。陸運局へ行けば簡単に特定できるのにしていない。これらの車両は債務者らのものなのか?

国提出の写真には人違いが多い。さらに、現場にいたことのない人や、既に沖縄を離れた人もいる。極めて特定がずさんというのが今回の裁判の特徴。

運動に参加した人はたくさんいるのに、どうして高江住民ばかりが選ばれたのか?なぜ「8歳の女の子」が債務者にされたのか?「裁判なんか怖くない」百戦錬磨の人たちは対象にされず、それまで運動に参加したことがなかったような住民たちが債務者らにされている。これは何を意味するか。国の目的は、高江の住民たちへの恫喝以外のなにものでもない。

争点②国の行為は正当か
ヘリパッド建設自体が人権侵害だ。オスプレイその他危険な航空機利用の予定があり、騒音、墜落の危険に晒され、住民の人格権、環境権、平和的生存権を侵害する。国の行為は正当ではない。

「ヘリパッドはアセス対象外」は詭弁である。法・条例に基づかない「自主アセス」終了後の計画変更・追加や希少生物の発見はどうなるのか。

争点③住民らの「表現の自由」
住民らの行為は正当な表現活動であり、国や司法が禁止することは許されない。

争点④保全の必要性がない
SACO合意(平成8年)によると「過半の返還」は平成14年までと謳っている。そこから既に7年たっている。この事業に緊急性があるのか。この間なにか国益が損なわれたのだろうか?

「政治の場で解決すべき事柄であり、司法的に解決するべきではない」という訴えは、そもそもこれまで憲法訴訟などで国がいってきたこと。今回はそれが逆で、政治問題を司法まで使って解決しようとしている。

第1回審尋をふりかえって
口頭でいってやろうと思っていたことを、裁判官がみんないってくれた。監視活動も通交妨害と考えているのか?何をもって「妨害行為」と考えているのか?一人一人の行為を特定しなくていいのか?どうして車の所有者も特定できないのか?などなど。

「報道では、審尋中は事業をしないということだがそれは確かか?」とこちらが尋ねたが、国側は「回答できない」と返事した。

当面のスケジュール
3/23 午後3時  第2回審尋
5/11 午後3時  第3回審尋

これは仮処分では非常に遅いペース。国側のスケジュールによって決まったものだが、これ自体が緊急性の無い証拠。

弁護団は、公開の「口頭弁論」を求めている。


住民の会 伊佐真次さんのお話
高江区長の移設容認発言報道について。区長に確認したところ、「いろんな人から突き上げられて大変だ」というが、「いろんな人」は結局7名という数字が出てきた。区の代議委員会も区民総会も開かれていない中で誤解を与えるから発言を撤回してほしいといっても、はっきりした態度は見せなかった。

区長の本心は移設「反対」だが、一部の人から突き上げられた結果ポロっといってしまったことを、特ダネを求めた記者に書かれた、というのが実際だと思う。報道通りの事実はない。「住民の会」はあくまで区長を立てなければならないと思っているし、敵対しているわけでもない。


同じカテゴリー(高江へ行こう!)の記事

 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。