2009年08月26日
沖縄「自立」への道を求めて 来間論文

来間泰男 (沖縄国際大学教授 沖縄経済論)
来間の議論を要約してみる。経済は経済法則で動くもので、人間の意志で動かせるものではない。いいかえれば、経済問題を政治解決することはできない。だから振興策でカネだけ落としても経済が回るとは限らない。そもそも沖縄は資本の投資先として魅力が無い。だから無いものねだりをするのではなく、身の丈の経済でやっていくしかない。「基地がなくなれば沖縄経済は悪くなる。それでも基地を撤去せよ」というのが来間の立場だ。つまり、基地と経済をリンクさせるなといっている。
来間はこの論に立ちながら、平恒次の「独立論」を批判している。シンポジウムでは壇上の議論として盛り上がったところもあったが、この「独立論争」よりも来間の論理で押さえておくべき視点は、経済は人間の意志で動かせないという経済学者としての基本的認識である。
これに近い議論を実は佐藤学がしている。(問われる沖縄の「自治」の力)。
私は来間の基地と経済を分ける考えを支持する。さらに来間・佐藤の立場に立って、基地撤去によって経済効果と税収が期待できるとする前泊の議論を批判(吟味)するならば、公共の財政と民間の経済をいったん分けて考えるべきだと思う。両者(来間・佐藤と前泊)は振興策が経済的・財政的冨を保証しないことでは一致している。その上で、基地がなくなって経済が良くなるか悪くなるかは、今の私には結論付けられない。
経済学を良く知らないが、経済が人間の意志で動かせないというのは、「神の見えざる手」(アダム・スミス)つまり古典的な市場経済の立場に立っているようだ。経済学者は「市場経済」という言葉を好むが、「資本主義経済」はまた意味が違う。「資本」には独自の欲動がある。そのことを理解することから始める理論に私は興味があるが、ここでは詳述は省く。
これに近い議論を実は佐藤学がしている。(問われる沖縄の「自治」の力)。
しかし、公共が市場に対して直接行使できる影響力は、非常に限られており、そもそも首長がこの分野で出来ることは少ないことを認識すべきである。自治体には民間企業の経営を直接左右することは出来ないし、また自治体自体が市場に主体として参入し雇用を創出することも出来ない。
私は来間の基地と経済を分ける考えを支持する。さらに来間・佐藤の立場に立って、基地撤去によって経済効果と税収が期待できるとする前泊の議論を批判(吟味)するならば、公共の財政と民間の経済をいったん分けて考えるべきだと思う。両者(来間・佐藤と前泊)は振興策が経済的・財政的冨を保証しないことでは一致している。その上で、基地がなくなって経済が良くなるか悪くなるかは、今の私には結論付けられない。
経済学を良く知らないが、経済が人間の意志で動かせないというのは、「神の見えざる手」(アダム・スミス)つまり古典的な市場経済の立場に立っているようだ。経済学者は「市場経済」という言葉を好むが、「資本主義経済」はまた意味が違う。「資本」には独自の欲動がある。そのことを理解することから始める理論に私は興味があるが、ここでは詳述は省く。
Posted by 24wacky at 18:25│Comments(4)
│今日は一日本を読んで暮らした
この記事へのコメント
ティーチイン当日には、会場で、来間先生の発言に対する批判が多く聞かれました。私は受付係で部屋の外にいたので、1分も聞けなかったのですが、「発想を転換」し「常識を覆す」議論をするためには、是非、来間先生に登壇をお願いしようと企画会議で主張した狙い通りになりました。
私は、彼の所論から出発しなければ、基地返還は、またぞろ腐敗の根になると思っています。美味しい話、夢を売るのでは、辺野古新基地建設を阻止し、普天間跡地利用を進める上で直面する、厳しい経済的現実に立ち向かえません。
私は、彼の所論から出発しなければ、基地返還は、またぞろ腐敗の根になると思っています。美味しい話、夢を売るのでは、辺野古新基地建設を阻止し、普天間跡地利用を進める上で直面する、厳しい経済的現実に立ち向かえません。
Posted by まなぶた at 2009年08月28日 13:49
>まなぶたさん
確かにあまりにもペシミスティックな口調に批判的な雰囲気がありました。私は冒頭の論理展開、「押しつけられた常識」とは何か?→基地がなければ経済が成り立たない→沖縄経済はレベルダウンする→押しつけられた常識なのか?がいささか腑に落ちませんでした。
「基地がなければ経済が成り立たない」はやはり「押しつけられた常識」であり、ただしレベルダウンするかもしれないけれど、相当の覚悟をする必要があるかもしれないけれども、まったく成り立たないわけではない、ということです。
この後来間さんが「もっと悪くなるだろうが基地を撤去させよう」といったので、なんだそういうことかと合点がいきました。かなり天の邪鬼なところがおありなようなので、そこは改善していただきたいなと(笑)思ったりはしますが。
確かにあまりにもペシミスティックな口調に批判的な雰囲気がありました。私は冒頭の論理展開、「押しつけられた常識」とは何か?→基地がなければ経済が成り立たない→沖縄経済はレベルダウンする→押しつけられた常識なのか?がいささか腑に落ちませんでした。
「基地がなければ経済が成り立たない」はやはり「押しつけられた常識」であり、ただしレベルダウンするかもしれないけれど、相当の覚悟をする必要があるかもしれないけれども、まったく成り立たないわけではない、ということです。
この後来間さんが「もっと悪くなるだろうが基地を撤去させよう」といったので、なんだそういうことかと合点がいきました。かなり天の邪鬼なところがおありなようなので、そこは改善していただきたいなと(笑)思ったりはしますが。
Posted by 24wacky at 2009年08月28日 21:26
あの先生は、もう、何にでも喧嘩を売る、大層おっかない方なので、改善される可能性はゼロというか、マイナス値だと思います。軍用地料批判を公然と展開したのは来間先生が最初のはずで、これは基地反対の側からすると、タブーだったことです。
「常識」の件ですが、基地撤去を求める人々の間では、基地があるから沖縄の経済発展が阻害されている、基地がなくなれば豊かになる、という論が「常識」になっていています。もし、そうなれば御の字ですが、諸条件を考えると、それは難しいだろう、それでも、基地は撤去させる、という来間論を土台にして、覚悟しなければ駄目だということです。基地依存の論を引き込んでおいて、それに巴投げを喰らわすようなものです。
「常識」の件ですが、基地撤去を求める人々の間では、基地があるから沖縄の経済発展が阻害されている、基地がなくなれば豊かになる、という論が「常識」になっていています。もし、そうなれば御の字ですが、諸条件を考えると、それは難しいだろう、それでも、基地は撤去させる、という来間論を土台にして、覚悟しなければ駄目だということです。基地依存の論を引き込んでおいて、それに巴投げを喰らわすようなものです。
Posted by まなぶた at 2009年08月28日 22:39
>まなぶたさん
おはようございます。
>あの先生は、もう、何にでも喧嘩を売る、大層おっかない方なので
その方に、確か会場から川満信一さんがケンカをふっかけるような発言をしていました(笑)。
>基地撤去を求める人々の間では、基地があるから沖縄の経済発展が阻害されている、基地がなくなれば豊かになる、という論が「常識」になっていています。
その説の人がいるとしたら、なんというか、売り言葉に買い言葉的にいっているような気がします。革新政党のジャーゴンから個人まで含めて。「常識」とまでなっているほど確信的にも思えないのですがいかがでしょうか。(ちょっとシャレてみました)だからこそ、それはおかしいというべきなのでしょうが。
おはようございます。
>あの先生は、もう、何にでも喧嘩を売る、大層おっかない方なので
その方に、確か会場から川満信一さんがケンカをふっかけるような発言をしていました(笑)。
>基地撤去を求める人々の間では、基地があるから沖縄の経済発展が阻害されている、基地がなくなれば豊かになる、という論が「常識」になっていています。
その説の人がいるとしたら、なんというか、売り言葉に買い言葉的にいっているような気がします。革新政党のジャーゴンから個人まで含めて。「常識」とまでなっているほど確信的にも思えないのですがいかがでしょうか。(ちょっとシャレてみました)だからこそ、それはおかしいというべきなのでしょうが。
Posted by 24wacky at 2009年08月28日 23:18