「癒しの島」から「冷やしの島」へ

上井草といえば、20代半ばに従事していたフィルム編集プロダクションのあった所。当時西武新宿線田無に住んでいたため、このあたりが生活圏としたあった。

この時代は短い期間ではあったものの、自分を確立していった中身の濃いものだった。映画制作の末端の現場で徹夜は当たり前、スケジュール通りに進まないのも当たり前の日々。そこでワンマン社長から職場のマネージメントを任され、本来の編集業務以外にも、スタッフの管理、営業、はたまた社員の面接までやらされた。そしてなによりも、生涯の友を得た（彼はその後他界するのだが）。

それ以来の現場を訪れてみた。


予定ではこの日中は、久しぶりに東京の街をあてどなく歩いてみようと思っていたのだが、この雨と寒さと疲労ではどうにもならない。結局、最後の日に羽田に向う前に寄るつもりだった実家で骨休みをすることに変更した。

老いた母親とぽつりぽつりと言葉を交わし、疲れたので眠りたいといってしばしごろ寝をし、夕方になり家を出た。

向った先は新宿。齊藤さんと久しぶりに会えるのが楽しみだ。今回はもう一人紹介してもらうことになっている。yurusさんは3月いっぱいで某テレビ局報道番組のスタッフだった方で、「twitterで仕事辞めました」という女性。

知花昌一さん、金城実さんらが6日に総理官邸前で予定されている沖縄からの抗議行動を、試験的にストリーミングできないか。iPhoneを使えば、PC持込をせずできるということが分かり、yurysさんにやってもらうことになった。その顔合わせ＆ミーティングも兼ねた飲み会となった。

約束の時間まで余裕があるので、久々の夜の新宿を徘徊する。他に劣らず当然ながら人、人、人なのだが、意気阻喪するというより、自分が馴染んでいる、受け入れられているという安心感が感じられる。


林由美香出演作上映中＠新宿国際劇場

大学卒業後、実家を出て西新宿に移り住んだ。20代前半の24wackyの原点がこの街にある。しかし、それから数えれば20年の月日が経過している。にもかかわらずそのような親密な感情を抱かされるとは意外だった。

飲み会の場所は思い出横丁。その言葉の通り、ここには24wackyのドロドロとした青春がいやというほど詰まっている。そこで齊藤さんと再会を祝して酒が飲めるなど、なんと幸せなことだろう。

yurysさん、齊藤さんとの宴は、あっという間に終わってしまった。

今夜の宿は新宿のネットカフェ。孤独だがさっきまでの陰鬱さは失せた。