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2016年10月30日

終章 革命を待つ動物たち 『可能なる革命』概要 その14

可能なる革命

 フランス革命のスローガンは「自由、平等、友愛」である。各人の自由が、すべての他者たちの自由の条件になっている。ということは、自由と普遍的で無際限の連帯(友愛)とが、同時に、相互に条件づけあうように実現している、ということである。そこに平等はなくてもよい。そのときすでに、不平等も解消されているはずだからだ。

 人は、自分の身内を優先する、つまり、部分的に連帯している(普遍的には連帯していない)。資本主義は、人間のこの性質を徹底的に利用する。人間を部分的に連帯させながら、市場での競争で資本を蓄積させる。

 しかし、それでも人間は、特に利害が対立していなければ、外集団の幸福をも願うことがある。《これもまた、動物としての人間の性質に根をもっていると考えざるをえない。つまり、動物的な原理からの断絶自体が、動物性に内在しているはずだ》(417ページ)。

 同じことが自由についてもいえる。《人間的な〈自由〉は、動物的な〈自由の不在〉の後に、外から加えられるのではない。前者は、後者そのものに全面的に根をもつかたちで実現するものである》(426ページ)。

『可能なる革命』
著者:大澤真幸
発行所:太田出版
発行:2016年10月9日




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