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2006年12月01日

『現代生協改革の展望⑥

6 協同組合の位置づけ


協同組合の存在理由


協同組合は主として商品の生産・消費領域に存在している。
そして資本主義企業の対抗組織である。


しかし、協同組合が自動的に普及・拡大して資本主義を改造するわけではない。協同組合は資本主義社会を改革する諸力の一つであって、協同組合が民主主義的管理能力を陶冶せずその管理・連常に失敗すれば、協同組合の存在意義は薄れることになる。株式会社形態に代わって生産領域に至るまで自動的に協同組合形態が主流となると考えるのは協同組合にたいする過大評価であり、マルクスの資本主義分析とも本質的に異なっている。


協同組合 人格的な要素を色濃く持った組合型の企業
株式会社 物象的な株式資本型の企業



協同組合の対抗組織性――人格のシステム


株式会社 「資本が人を支配する」
協同組合 「人が資本を支配する」

協同組合の制度
①組合員の増減によって出資金が変動する不確定資本の制度
②配当制限の制度
③一人一票の民主主義的な運営原則

→資本が物象のシステムとして作動しないように統御するための装置


しかし、協同組合がそれ自身としては制限された不完全な資本として物象のシステムであることを抑制していても、全体としての資本のシステムのなかにあっては株式会社資本との熾烈な競争に巻き込まれ、資本同士の闘いに直面せざるをえない。



協同組合の対抗組織性――ニーズの実現


協同組合は資本主義企業では満たされないニーズを実現してこそ、対抗組織としての優位性を発揮する。そのニーズとは、


資本主義企業では充分に実現しえない「私的なもの」と「社会的なもの」との矛盾の止場を協同組合組織は実現することが可能である。なぜならば、組合構成員がみずからの消費ニーズを協同的に集約することによって「私的なもの」と「社会的なもの」との分裂を回避しうるからである。消費者が自分たちのニーズ( 生活要求 ) を実現するために自分たちを組織化し事業化したのが協同組合であるといってもよい。


生産者優位の社会とは異なった消費者優位の社会


その消費協同組合も、最近は資本主義的流通企業の
発展の前に停滞を余儀なくされている。
また、対抗組織性はとくに市場・企業の周辺 ( 限界 ) 領域において発揮される。
近年の労働者協同組合の発展は、
資本投下の困難な辺境の地スペインのモンドラゴンや、
資本形成の困難な企業の自主管理、
社会サービス領域の事業化となって現われている。





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この記事へのコメント
好調ですね。

この辺はだいぶ分かりやすくなってきましたよね。

この調子で、第6章だったか、コープ千葉と宮崎生協の実例まで行って下さいね!
Posted by asawa at 2006年12月01日 12:58
お褒めに与りまして光栄です。

そうなんですよね、このあたりからはやさしい。
前半はまだ理解できていないのが悔しい。
Posted by 24wacky at 2006年12月01日 18:17
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