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2008年05月22日

『世界共和国へ』を読むためのメモ その2

第Ⅰ部 交換様式

1 「生産」から「交換」へ

経済的な下部構造を重視したマルクスは、人間をまず自然との関係で見た。そのために、人間が自然に働きかけて財を作り出す「生産」を重視する。さらに生産が人間と人間の関係を通してなされること、いいかえれば、一定の生産関係の下で生産がなされることを見た。それが生産様式という概念。しかしこの表現だと「生産」が強調され、交換や分配が二次的なものとみなされる。そこでそれに代わって、「交換様式」と呼ぶことにする。

交換には4つのタイプがある。A 互酬(贈与と返礼)、B 再分配(略取と再分配)、C 商品交換(貨幣と商品)、 D X 。

マルクス『資本論』を読んでいない者、あるいは読んではいるが理解できていない私のような者は、とにかく「生産」を「交換」と呼び代えている、この「交換」という概念に注意しておこう。交換というと、商品交換のようにお互いの合意による取引をイメージするが、それ以外にも一見交換とは思えないようなものも交換といってしまうのがオリジナル。それが次の4パターン。

A 互酬 未開社会から現代に至るまで共同体の中で行われる様々な贈与とお返し。

B 再分配 共同体と共同体の間では、相手から暴力的に奪うことがある。その方が商品交換より手っ取り早いからだ。そしてそれが継続的になったのが貢納制国家。その場合、他の国家から継続的に略奪するために、さまざまな意味での「再分配」、例えば、治水灌漑、公共事業、福祉、安全の確保などが必要となる。最初に奪っておいてそれだけだと1回で終わってしまう。なおかつその国家を継続的に支配するために時に甘い蜜で「再分配」する。おかしなことにこれを被支配者はありがたいことだと錯覚する。

C 商品交換 現実には貨幣と商品の交換。貨幣を持つ者は暴力によらずとも、他人の生産物を手に入れたり、他人をこき使ったりできる。貨幣を持つ者の方が商品を持つ者より優位にたつ。対等な関係ではない。にもかかわらずお互いの合意による交換のように表象される。

D X。現実には存在しない理念としてあるような形態。後ほど詳述される。


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