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2008年05月22日

『世界共和国へ』を読むためのメモ その4

3 五つの社会構成体

マルクスの提示した五つの生産様式を交換様式という観点から考え直したい。第Ⅱ部以降で詳しく述べるが、とりあえず主な特徴を整理する。

1 氏族的
互酬が支配的であるが、部分的には他の共同体との略取―再分配や商品交換も既に存在した。

2 アジア的
狭い意味でのアジアに限定されない。国家機構がほぼ完成された形態。
注意したいのは、略取=再分配だけで成り立っているのではないということ。その支配下にある農業共同体は貢納賦役の義務を強制されるが、それをのぞけば共同体は自治的であり、経済的には互酬的な交換に基づいている。さらに交易があり都市もある。

3 古典古代的
アジア的な社会構成体である帝国の「亜周辺」(submargin)に成立した都市国家。ギリシャのように、帝国の文明を享受しつつ部族的な互酬制を保持した。

4 封建的
西ヨーロッパや日本のように、アジア的帝国=文明の「亜周辺」に生じた。さまざまな交換形態が共存しつつ、なお、略取=再分配が支配的。

5 資本主義的
商品交換(C)が支配的だが、略取=再分配も変形されて存続している。

以下の章でこれら4つの交換様式、5つの社会構成体からいかにして資本=ネーション=国家という環が生じるのか、またいかにしてそれへの対抗運動が可能なのかを明らかにする。4つの交換様式の連関をみるために、資本制以前の世界と以後の世界に分ける。ウォーラーステインは前者を「世界帝国」後者を「世界経済」と呼んだ。

世界帝国
古代から世界各地にあった国家。交易圏、文明、世界宗教として1つのまとまりをなす。古代の国家や部族社会は孤立して存在していたのではなく、こうした帝国と関係しつつ、その周辺や亜周辺に位置していた。

世界経済
15・16世紀に成立した世界市場の下、それまで切り離されていた多数の世界帝国が相互につながれ、また、その内部で多数の主権国家に分解されるような「世界」。


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