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2009年07月07日

沖縄アソシエーショニズムへ 26

引き続き柄谷講演の要約をお届けする。丸山眞男は伝統的な共同体から個人が抽出されるパターンを図のように示した(『丸山眞男集』第9巻)。

沖縄アソシエーショニズムへ 26

① 集団的な政治活動に参加する
  中央権力を通した改革を志向する
② 集団的な政治活動からは自立、結社形成的
  政治を拒否しているわけではなく、いざとなれば参加する
  地方自治に熱心
③ 政治活動を一切拒否、私的な世界に立てこもる
④ ③同様政治的なものから切り離されているが、私的な核もなく、流れのままに浮遊する



和辻がいう城壁内で共同し個人の意識が強いのは②のタイプ、家を守り公共性に関心がない「私的」なのは③のタイプに当てはまる。日本に特徴的なことは、②の要素が少なく、③④の傾向が強いということ。(現在の文脈でいえば、①は自民党であれ民主党であれ中央集権的な政治の枠組に依拠しているような人たち②は様々な市民活動を含め理性で問題が解決できると信じている人たち③理性の説得に耳を貸さない人たち④2ちゃんねらー、ネトウヨ君たちといったところか by 24wacky)。

丸山によれば、日本の近代化が急速な進歩を遂げた秘密は、封建的=身分的中間勢力の抵抗が危ういところにあるという。このことは何を意味するか。徳川体制において、仏教団体がたんなる行政機関に成り下がり、後の明治国家が易々と教育の権利を握ることができたということだ。それによって《自由なき平等化、帝国臣民的な画一化》が進行したのはいうまでもない。

ヨーロッパでは教会が教育を伝統的に管理していた。自治都市や地方のコンミューンが国家権力からの砦として機能した。あるいはアラビアでもインドでもどこでも、中間勢力が集権化に抵抗した。現在のアフガンやイラクをみれば、イスラム教の諸派が国家から自立していることがわかる。

ここまでをまとめれば、個別社会、中間勢力がなかったため、日本では統一国家の形成が速く、産業化も進んだが、公共性に無関心な個人をマジョリティとして生み出してしまった。私の問題意識から捉えれば、理性によって真理に至る考えは敗北するということになる。

次回に続く





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