「癒しの島」から「冷やしの島」へ

昼ごはんを買いに近所の弁当屋へいった。窓口販売のその弁当屋で作業着姿のにーにーたちと真剣な面持ちで弁当を物色していると、「こんにちわ、衆院選に立候補しました○×△□です」という声が背後から。みなが振り返ると、そこには青いかりゆしウエアを着た眼鏡の男が目の前に立っている。「どうぞよろしくお願いします」と腰低く頭を下げる彼。生姜焼き弁当か白身魚のバター焼弁当か迷っていたオイラは完全に不意をつかれ、「ご苦労様です」というように思わず笑顔で会釈してしまった。にーにーたちも微妙な笑みを洩らしている。

那覇市のゲットーといわれる？オイラの町。袋いっぱいに回収した空き缶を自転車後部に括りつけ、大型ダンプでデコボコにされたアスファルトを走る汗ばんだ男や女たち。錆びついたシャッターの降ろされた空き店舗の前で、ラジオを流しながら休息をとる黒ずんだ男。こんな町にたった一人で挨拶回りに来るなんて、これまでにない光景だ。まさにドブ板選挙。

その後の突然の雨はここに暮らす人びとの足取りを止め、中途半端に止み、最後に不快な湿気を残した。