2008年11月16日

成瀬巳喜男監督の世界

パレット市民劇場で開催された「日本名作映画劇場2008 成瀬巳喜男監督の世界」へ行った。先日の川島雄三特集上映@桜坂劇場に続き、1日4本観たのだが、4本目が終わるころには、「ああ、これで終わってしまうのか、このまま永遠に観続けていられたら・・・」というように、映画ジャンキー化している自分を見出し、ひと時の幸福感を味わう。

尊敬する弁護士Cさんに久方振りに偶然遭遇。「あなたもこのような映画が分かる年代に近づいてきたということかな」と声をかけられる。

そう、会場を埋めた観客のほとんどが年配層であった。古き良き日本映画がスクリーンで観られることを楽しみに足を運んだ方々と共に映画を観られることは至上の楽しみである。

成瀬作品は過去に数本観た記憶があるが、「浮雲」を途中で眠ってしまった(あれは並木座だったっけ?)苦い経験から、以来どちらかというと遠ざけていたのだが、今回の上映4本はまさに圧巻であった。その肌理細やかな演出、計算されたシークエンスの積み重ねに存分酔いしれた。


成瀬巳喜男監督の世界めし
戦後復興の途上、大阪~東京の移動、美男美女大物スターが馴染む畳部屋でのセット撮影、などなど見所はたくさん。



成瀬巳喜男監督の世界おかあさん
戦後復興途上における良妻賢母のイメージを高揚させる製作意図に沿いながら、それを越えてしまう映画の力、作家の力量に驚かねばならない。香川京子はその後の栗田ひろみに似ていることを発見。

成瀬巳喜男監督の世界浮雲
前回眠ってしまった独特のだらだら感が、映画が終わるまで続きつつ、その圧倒的な積み重ねに耽溺せざるをえない。高峰秀子と森雅之のようにだらだら歩きながら会話をしてみたいものだ。

成瀬巳喜男監督の世界乱れ雲
巨匠の遺作、そのカラー作品でエロスを晒す司葉子、その鼻筋、うなじ、とりわけ病院のベッドで仰向けの姿勢を強制された、その斜め下からのあごから鼻梁にかけての稜線を、加山雄三にほしいままにはさせないぞ。


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