2010年05月16日
「どうなる普天間移設?~朝まで徹底生激論~」を語る
昨夜のQAB開局15周年報道特番『どうなる普天間移設? ~朝まで徹底生激論~』は誇張ではなく感動的な試みであった。その感動的なポイントを以下列記する。
本家テレ朝「朝生」の演出を、徹底的にパロディといえるほど真似ることにより、同番組への批判が浮き彫りになるという番組スタッフの隠された意図が見事に成功した。むろん地方局にとってキー局の番組をパロディにすることなど、シリアスな力関係からいえば到底考えられないことだ。しかし、それをQAB同番組スタッフは周到に実行した。
では本家への批判としてなにが浮き彫りになったか?それは本家の進行役田原総一朗のそれこそ「偏向した」進行ぶりによってこれまで持ち上げられてきた論客たちが、いかに持ち上げられる価値以下の存在であるかが暴露されたこと。同じく田原により貶められカットされてきた「声」が正等に取り上げられることにより、本来のポジションを得られたこと。
それにはまず、進行を務めたQAB三上キャスターの腹のすわった采配ぶりを挙げなければならない。それにより親米保守(かつての)大物政治家である山崎拓、親米保守軍事論客森本敏のブザマなばかりの精彩の無さ、これまでの家父長的傲慢な態度は鳴りを潜めざるを得なかった。
なんといってもその圧巻は、両者を迎え撃った佐藤学沖国大教授との闘いであった。「グアム移転協定は破棄できる」とする佐藤の言を軽々しく否定してしまった山崎に対し、佐藤はまるで口を挟ませなかった。かつての自民党派閥のドンの口を完膚なきまでにシャットアウトした。
佐藤は森本に対しても同様、終始優勢にディベートを展開した。つい忘れがちだが、佐藤の専門は軍事ではない。しかし、軍事で森本を黙らせた。常にナイフを研ぎ澄ませていたジェネラリスト佐藤の面目躍如全快。この瞬間、これまで沖縄に対して吐かれ続けてきた親米保守軍事の言説は、あっけなく崩壊したといってよい。これからの沖縄は、これらの言説に関わる必要がなくなってしまった。
この後森本は明らかに動揺していた。「佐藤さんもよくご存知の通り・・・」などと弱気のおべっちゃらがつい口を出てしまった。佐藤の存在を認めざるを得なくなったことの証しである。
これに対し、終始建前論のみの玉城デニー、阿部知子両議員の存在感の薄さときたらなかった。二人は、いまここで何が議論されるべきなのかを悲しいほど理解できていない。学者が彼の理性を正当に行使するその圧倒的な倫理観と、それは際立った対照を現前させてしまった。
さらなる圧巻は、2004年沖国大ヘリ墜落事件の生々しいニュース映像から始まるメディアのあり方をめぐる議論で起こった。カメラを遮ろうとする米兵に対し、「You can't do this!」と決死の覚悟で抗うQAB謝花記者の身体表現の美しさに震えがきたその後で。
在沖米軍から発生する問題を報じない中央メディアと、その中央から「左翼偏向メディア」と揶揄される沖縄メディアという対比。三上キャスターは隣に座るテレビ朝日コメンテーター・川村晃司に対し、なぜ中央のメディアは沖縄の基地問題を扱おうとしないのかと直球を投げきった。
これは尋常ではない。ローカル局のキャスターがキー局で一定のポジションにある者に対し、「お前は仕事をしているのか?」といっているのに等しいからだ。窮鼠猫をかむ。 苦虫を噛み潰したような川村のエリートヅラの頬が数センチ震えていたのを私は見逃さない。
さて、三上にしても佐藤にしても、なにが彼らをそうさせたのか。それを直観することがこの番組の全てである。この革命的出来事を折に触れ思い出そう。我々は少なくとも「それ」を目撃した。我々はここから出発しなければならない。
ご覧になれなかった方はこちらからどうぞ目撃してほしい。
では本家への批判としてなにが浮き彫りになったか?それは本家の進行役田原総一朗のそれこそ「偏向した」進行ぶりによってこれまで持ち上げられてきた論客たちが、いかに持ち上げられる価値以下の存在であるかが暴露されたこと。同じく田原により貶められカットされてきた「声」が正等に取り上げられることにより、本来のポジションを得られたこと。
それにはまず、進行を務めたQAB三上キャスターの腹のすわった采配ぶりを挙げなければならない。それにより親米保守(かつての)大物政治家である山崎拓、親米保守軍事論客森本敏のブザマなばかりの精彩の無さ、これまでの家父長的傲慢な態度は鳴りを潜めざるを得なかった。
なんといってもその圧巻は、両者を迎え撃った佐藤学沖国大教授との闘いであった。「グアム移転協定は破棄できる」とする佐藤の言を軽々しく否定してしまった山崎に対し、佐藤はまるで口を挟ませなかった。かつての自民党派閥のドンの口を完膚なきまでにシャットアウトした。
佐藤は森本に対しても同様、終始優勢にディベートを展開した。つい忘れがちだが、佐藤の専門は軍事ではない。しかし、軍事で森本を黙らせた。常にナイフを研ぎ澄ませていたジェネラリスト佐藤の面目躍如全快。この瞬間、これまで沖縄に対して吐かれ続けてきた親米保守軍事の言説は、あっけなく崩壊したといってよい。これからの沖縄は、これらの言説に関わる必要がなくなってしまった。
この後森本は明らかに動揺していた。「佐藤さんもよくご存知の通り・・・」などと弱気のおべっちゃらがつい口を出てしまった。佐藤の存在を認めざるを得なくなったことの証しである。
これに対し、終始建前論のみの玉城デニー、阿部知子両議員の存在感の薄さときたらなかった。二人は、いまここで何が議論されるべきなのかを悲しいほど理解できていない。学者が彼の理性を正当に行使するその圧倒的な倫理観と、それは際立った対照を現前させてしまった。
さらなる圧巻は、2004年沖国大ヘリ墜落事件の生々しいニュース映像から始まるメディアのあり方をめぐる議論で起こった。カメラを遮ろうとする米兵に対し、「You can't do this!」と決死の覚悟で抗うQAB謝花記者の身体表現の美しさに震えがきたその後で。
在沖米軍から発生する問題を報じない中央メディアと、その中央から「左翼偏向メディア」と揶揄される沖縄メディアという対比。三上キャスターは隣に座るテレビ朝日コメンテーター・川村晃司に対し、なぜ中央のメディアは沖縄の基地問題を扱おうとしないのかと直球を投げきった。
これは尋常ではない。ローカル局のキャスターがキー局で一定のポジションにある者に対し、「お前は仕事をしているのか?」といっているのに等しいからだ。窮鼠猫をかむ。 苦虫を噛み潰したような川村のエリートヅラの頬が数センチ震えていたのを私は見逃さない。
さて、三上にしても佐藤にしても、なにが彼らをそうさせたのか。それを直観することがこの番組の全てである。この革命的出来事を折に触れ思い出そう。我々は少なくとも「それ」を目撃した。我々はここから出発しなければならない。
ご覧になれなかった方はこちらからどうぞ目撃してほしい。
Posted by 24wacky at 00:49│Comments(10)
│NEWSを知りたい
この記事へのコメント
QABのサイトから見れるんですね。
昨日は開始30分で寝てしまったので、ありがたいです。
昨日は開始30分で寝てしまったので、ありがたいです。
Posted by FPトモリ at 2010年05月16日 02:17
>FPトモリさん
中盤から後半へかけての盛り上がりが見ものです。じっくりご覧下さい。
中盤から後半へかけての盛り上がりが見ものです。じっくりご覧下さい。
Posted by 24wacky at 2010年05月16日 10:23
確かに後半は盛り上がりました。三上さん、佐藤さんは際立っていました。それにしても国会議員のふがいなさ、誰のための政治なのか。誰のための国会議員であるのか。すべてが言い訳に終始、別世界の人間となってしまっている。
Posted by son at 2010年05月16日 11:13
>sonさん
そもそも国会という不合理の場が「別世界」であることが顕わになったともいえそうです。
そもそも国会という不合理の場が「別世界」であることが顕わになったともいえそうです。
Posted by 24wacky at 2010年05月16日 11:38
とてもよい批評文だと思いました。特に佐藤氏と森本氏の討論に注目したのがすばらしい!本土メディアでは森本氏はでまくりで、冷静かつ論理的に、「実質沖縄しかありえない」といっております。
その発言が信用できないものだったのをこのQABの番組は明らかにしたと思います。
その発言が信用できないものだったのをこのQABの番組は明らかにしたと思います。
Posted by zames_maki at 2010年05月17日 02:14
>zames makiさん
おほめの言葉ありがとうございます。森本ら論客のまやかしの正体を晒すことは、戦後日本の負の歴史更新にリセットをかけることでもあるでしょう。ぜひ同番組情報の拡散をお願いします。
おほめの言葉ありがとうございます。森本ら論客のまやかしの正体を晒すことは、戦後日本の負の歴史更新にリセットをかけることでもあるでしょう。ぜひ同番組情報の拡散をお願いします。
Posted by 24wacky at 2010年05月17日 09:07
論評頂き、ありがとうございます。
森本教授は、おそらく、無茶な「抑止力」議論から距離を置く意図なのでしょう。論破されたとは、全く思っていないでしょうね。山崎拓氏は、今、この問題を論じる立場にいないので、なんだか気の毒でした。
自分としては、最初の40分くらい、発言するきっかけが分からなくて、このまま何も言わずに帰ったら、また洗濯屋のバイトの女子学生に批判されるなあと焦っておりました。乱入するのがルールと分かって、まあ、大恥をかくこともなく終わってほっとしています。
森本教授は、おそらく、無茶な「抑止力」議論から距離を置く意図なのでしょう。論破されたとは、全く思っていないでしょうね。山崎拓氏は、今、この問題を論じる立場にいないので、なんだか気の毒でした。
自分としては、最初の40分くらい、発言するきっかけが分からなくて、このまま何も言わずに帰ったら、また洗濯屋のバイトの女子学生に批判されるなあと焦っておりました。乱入するのがルールと分かって、まあ、大恥をかくこともなく終わってほっとしています。
Posted by まなぶた at 2010年05月17日 12:34
QAB、素晴らしい仕事。評価すべき。
だけど、「なぜ中央のメディアは沖縄の基地問題を扱おうとしないのか」というのはおかしい。
それは沖縄から全国に伝えるべきニュースやトピックをキー局任せで当事者であるローカル局が全国あるいは世界に発信していなかったからではないか?確かにキー局がローカル制作番組を放送する事はないだろうが、今ならネットとか新たなメディアは活用できる筈。
この動画も、YOUTUBEなりニコ動なりUSTREAMなりでどんどん発信すれば、キー局に頼らずとも発信出来るはず。
だけど、「なぜ中央のメディアは沖縄の基地問題を扱おうとしないのか」というのはおかしい。
それは沖縄から全国に伝えるべきニュースやトピックをキー局任せで当事者であるローカル局が全国あるいは世界に発信していなかったからではないか?確かにキー局がローカル制作番組を放送する事はないだろうが、今ならネットとか新たなメディアは活用できる筈。
この動画も、YOUTUBEなりニコ動なりUSTREAMなりでどんどん発信すれば、キー局に頼らずとも発信出来るはず。
Posted by EN at 2010年05月17日 13:37
>まなぶたさん
まずはいろいろとお疲れ様でした。
森本氏は先日の別番組出演時(福島瑞穂と並んで出ていた)に海兵隊不要を認める発言をしていました。まなぶたさん始め沖縄側の理論闘争がここへきてじわじわと浸透してきたことを察し、「やばい」ということで戦略を変えようとしているのかもしれませんね。
前半は乱入やり放題の田岡氏にペースを奪われがちでしたが、業を煮やしたまなぶたさんのノータッチ・リング・インから議論ががちっと噛み合ってきました。森本、山崎両氏はあまりにもダメージが大きく、リングサイドで倒れたまま。完勝です!
まずはいろいろとお疲れ様でした。
森本氏は先日の別番組出演時(福島瑞穂と並んで出ていた)に海兵隊不要を認める発言をしていました。まなぶたさん始め沖縄側の理論闘争がここへきてじわじわと浸透してきたことを察し、「やばい」ということで戦略を変えようとしているのかもしれませんね。
前半は乱入やり放題の田岡氏にペースを奪われがちでしたが、業を煮やしたまなぶたさんのノータッチ・リング・インから議論ががちっと噛み合ってきました。森本、山崎両氏はあまりにもダメージが大きく、リングサイドで倒れたまま。完勝です!
Posted by 24wacky at 2010年05月17日 13:42
>enさん
>今ならネットとか新たなメディアは活用できる筈
そう思います。それはQABに限らず、従来のメディアのみならず市民自らもそうすべきだしできる。
「沖縄の」基地問題は沖縄ローカルの問題ではなく日本全体、さらにいえばアメリカをも含めた世界的な問題です。それを中央メディアが扱わないのは明らかにおかしいし、それを知る機会を奪われた国民は哀れです。
>今ならネットとか新たなメディアは活用できる筈
そう思います。それはQABに限らず、従来のメディアのみならず市民自らもそうすべきだしできる。
「沖縄の」基地問題は沖縄ローカルの問題ではなく日本全体、さらにいえばアメリカをも含めた世界的な問題です。それを中央メディアが扱わないのは明らかにおかしいし、それを知る機会を奪われた国民は哀れです。
Posted by 24wacky at 2010年05月17日 14:15