2016年12月03日

『変魚路』

変魚路

 「むどぅるちゅん」(思考停止状態)となったタルガニと親友パパジョーの「ロードムービー」とはいかなる事態か。そもそも二人ともでーじ年寄りだろ。迷子になった認知症の話ではないの?いまごろきっと捜索願が出されているはず。「夢幻」だの「迷宮」だの「神話」だのともっともなコピーをかぶせてみるのをやめにして、ここは今一度、タルガニよろしく「むどゅるちゅん」してみる。すると、平良進と北村三郎の二人の佇まいが、なんだか狂気の沙汰としか思えなくなってくる。おかしいだろう、どう見てもこの二人。二人以外の登場人物もおかしいし、映画の隅から隅までおかしいので目立たないが(笑)、それにごまかされてはいけない。この二人、おかしいだろ、と冷静にツッコミを入れるべきだぞ、やはりここは。

 路地とは迷宮ではない。表面だ。作家がリアリティを感じるという復帰前の沖縄の、それは「再現」ではなく、限りなく表面に接近する営為のこと。その営為がもはやチルダイする場合でなくなるとき、「背景」が「風景」となる。そこからロケーション・ハンティングが始まる。そんなふうに観たい。
 
『変魚路』
監督:高嶺剛
出演:平良進/北村三郎/大城美佐子/川満勝弘/石川竜一
2016年作品
劇場:映画美学校試写室
2017年1月14日(土)シアター・イメージフォーラムにてロードショー
2017年2月25日(土)沖縄・桜坂劇場ほか全国順次公開予定




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