2017年04月03日
『しあわせのパン』

レビューで「ほっこりしました」と書かれそうな(そして実際書かれている)映画は苦手だ。いつ見るのをやめようかと思ったが、美味しそうなパンに惹きつけられて最後まで見てしまった。
しかし、最後のパート、カフェ・マーニを訪れる老夫婦は別物だ。中村嘉葎雄と渡辺美佐子のど迫力、特に中村嘉葎雄はヤバい。「ほっこりさせてたまるか」といわんばかりのパフォーマンスである。このパートだけでも見る価値はある。
監督は矢野顕子 with 忌野清志郎「ひとつだけ」にインスパイアされ脚本を書いたらしい。オリジナルの矢野顕子バージョンで「あなたの心の 白い扉 ひらく鍵」を、清志郎は「君の心の 「黒い扉」 ひらく鍵」と変えて歌っている。北海道の海が見渡せるカフェで仲睦まじくスローライフを楽しんでいそうなりえさん(原田知世)と水縞くん(大泉洋)だが、りえさんにはどこか翳りがある。それがなにかは示されないが。水縞くんはそれをそっと見つめる。彼女の「黒い扉」をひらく鍵を探す物語としてあるのだろうか。
『しあわせのパン』
監督・脚本:三島有紀子
出演:原田知世/大泉洋/光石研/余貴美子/中村嘉葎雄/ 渡辺美佐子/あがた森魚
主題歌:矢野顕子 with 忌野清志郎「ひとつだけ」
2012年作品
GYAO配信期間
2017年3月29日~2017年4月28日
Posted by 24wacky at 20:58│Comments(0)
│いつか観た映画みたいに