2019年01月21日
『1987、ある闘いの真実』チャン・ジュナン

韓国人がなぜ政治に熱い国民なのか、それは自分たちで血を流し民主化を勝ち取った歴史的経験をもつからであり、それに比べその経験のない日本人は政治に無関心でいられる、という説がある。今からわずか30数年前の韓国で実際に起こった民主化運動をリアルに描いたこの作品は、確かにその説を補強するだろう。バブルに浮かれた学生時代を過ごし、後に「平和な」国の唯一の例外として苛烈な抵抗運動のあった/そして今もある沖縄という地で生活した経験を重ねざるを得ない私のフィルターを通しても、PTSDに行きつくような切迫感と嫌な発汗が上映中あった。
「デモで政治は変わるのか?」。キャンパス生活を謳歌しようとする女子大生ヨニ(キム・テリ)は、甘いマスクのイ・ハニョルから学生運動に誘われ、疑問をぶつける。この女子大生の日常があり、しかしその隣で国家の暴力と市民の民主化闘争が行われていた。その生々しさを、映画はよく描いている。
同時上映の『タクシー運転手 約束は海を越えて』と比較してみる。『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、エンタテイメントと硬派な政治史という題材の稀な両立があったが、『1987、ある闘いの真実』はドキュメント・タッチで積み重ねるように映画が進行する。しかし、クライマックスでは、やはりハラハラドキドキの追跡シーンとドンデン返しがある。その部分にやや作為を感じてしまうのは否めない。改めて、『タクシー運転手 約束は海を越えて』の成功の稀であることがわかる。
それにしてもこの二本立てはキツい。
『1987、ある闘いの真実』
監督:チャン・ジュナン
出演:キム・ユンソク/ハ・ジョンウ/ユ・へジン/キム・テリ
劇場:キネカ大森
2017年作品
2019/01/20
興奮冷めやらぬただ中、とりあえず2つのことに触れたい。 1つ。この映画は「行って帰る」物語の文法に忠実である、というよりほぼそのものであり、なおかつその「鉄板」過ぎる構造にもかかわらず傑作であるということ。ソウルから光州へ連れて行くことをドイツ人ジャーナリストのピーターから依頼されたしが…
Posted by 24wacky at 19:49│Comments(0)
│いつか観た映画みたいに