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2010年12月30日

「唐獅子」第14回 見るまえに跳べ

沖縄タイムス連載コラム「唐獅子」第14回(最終回)の本日掲載分です。
半年間読んで頂きありがとうございます。

見るまえに跳べ 

 9月から始めた沖縄オルタナティブメディア(OAM)も3ヶ月が過ぎた時点で様々な課題がみえてきた。その結果12月からサイト内容を改編することになった。毎週金曜日の1時間番組「週一スタジオ配信」を隔週で2時間枠に変えるなど。

 隔週なのだから「週一」というタイトルは使えない。では新しい「タイトル」を考えようということになり、メンバー間でアイデアを出し合った。だが、さんざん自分の頭を悩ませながら出てくるのはくだらない駄洒落ばかり。我ながら毎回これではまずいと反省し、気持ちを入れ替え出てきた言葉が「leap」(跳べ)。

 「見るまえに跳べ」。若き大江健三郎の短編のタイトルである。実は大江もイギリスの詩人オーデン作同タイトルの詩「Leap Before You Look」から採った。

大江の短編もオーデンの詩の内容もまったく覚えていなかったのだが、「見るまえに跳べ」というかっこよすぎるタイトルは忘れられなかったようだ。ネット検索してみたら同じような感想を漏らすブログに当った。「見るまえに跳べ」、ああだこうだいわずに動き始めろというメッセージとして解釈する頭でっかちな文学青年はかつての自分だけではなかったらしい。独善的な勘違いは文学青年の特権か。

 既に若くはない者としてオーデンの一節を訳してみたくなった。「危機を感知する意識は消えないものだ/ここからは緩やかに見えようとも/道は短く険しい/ずっと見ていたいならそれでもいいけど、君はいずれ跳ばなければならない」・・・

その後いくつかの案が出され、leap (跳べ)も部分採用されつつ決定したのが「ナマ(今)とぅ(跳)びぃん! オルタナ・クール」というタイトル。みんなでワイワイと(メール上でだが)案を出しながら、なかなか良いタイトルが生まれたと自負している。

私にとってこの一年は大きな変化の年となった。それはライフワークとしてのOAMを始めた、つまり跳んだ年だという意味で。むろん跳び始めたばかりで着地点は未だ見えない。その抜き差しならないドキュメントとしてこの連載はあったともいえる。半年間読んで頂いた皆さんに深く感謝します。

(沖縄オルタナティブメディア代表)



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