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2017年07月10日

『たかが世界の終わり』グザヴィエ・ドラン

『たかが世界の終わり』グザヴィエ・ドラン

 冒頭が印象的に始まる。主人公ルイ(ギャスパー・ウリエル)が12年ぶりに帰郷する、その直前の移動としての列車の中でまどろんでいる。後ろの席のやんちゃな男の子がルイに何度もちょっかいを入れる。その度にルイは軽く微笑む。そのシークエンスに、これから自らの死が近づいていることを家族に告げるための帰郷というルイのモノローグが被せられる。以降映画のほとんどが家族のぎこちない再会劇の舞台となる家の中で展開される。主人公の「告白」を遅延させる家族の「私的」な交換、その磁場の強さのことを「たかが世界の終わり」というのか。

『たかが世界の終わり』
監督・脚本・編集:グザヴィエ・ドラン
出演:ギャスパー・ウリエル/レア・セドゥ/マリオン・コティヤール/ヴァンサン・カッセル/ナタリー・バイ
2016年作品
劇場:早稲田松竹
同時上映:『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』
  


2017年07月09日

『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』


 ウォール街のエリート銀行員デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は交通事故で突然妻を亡くすが悲しむことができない。妻の最期の言葉は「冷蔵庫の水漏れを直してくれ」だった。デイヴィスは毎日乗っていた通勤電車の非常ブレーキを衝動的に操作させる。次に冷蔵庫を解体し、オフォスのトイレのドアやパソコンを解体する。解体屋に頼み込んで解体の仕事に嬉々とするデイヴィスは、ついにマイホームを解体する。原題”Demolition"(解体)は、「思考」してこなかった男が「思考」することを始める、そのためには一度すべてを解体する必要があるという寓意をほのめかしている。映画的リアリティの技法とジェイク・ギレンホールの名演によって可能となったすぐれて哲学的な作品である。

『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:ジェイク・ギレンホール/ナオミ・ワッツ/ジュダ・ルイス
2016年作品
劇場:早稲田松竹
同時上映:『たかが世界の終わり』