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2011年04月19日

緊急Ust中継!福島原発 内部被曝について正確な情報を知ろう

「ナマ(今)とぅびぃん! オルタナ・クール」第11回予告

OAM(沖縄オルタナティブメディア)

日時:4月24日(日)19時~21時予定

場所:カフェcello (那覇市泉崎)
(休業日のため営業はしませんが、オーナーのご厚意で場所を提供していただきます。番組を生でご覧になりたい方のご来店歓迎です!)

タイトル:福島原発事故 内部被曝について正確な情報を知ろう
ゲスト:矢ヶ崎克馬さん(琉球大学名誉教授)

東日本大震災に伴う福島原発事故について、「直ちに健康には影響しない」と繰り返す官房長官や御用学者たち。なるほど「直ちに」ではないかもしれないが確実に影響を与えるのが放射性物質内部被ばくの問題ではないのか。原爆症認定集団訴訟で証言を行うなど同問題に詳しい矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授は、3月25日に福島県入りし、1週間にわたって空気中や農地、水などの放射線量や放射能汚染のデータ収集を実施した。矢ヶ崎さんから最新の調査報告を聞きながら内部被ばくの真実を知り、不安に惑わされることなくわたしたちの態度を定めたい。   


Posted by 24wacky at 22:34Comments(0)OAM

2011年04月18日

国家の犯罪に抗う民衆の記憶



現代世界の国家の犯罪、それに抗う民衆の記憶をめぐって議論しあう《方法としてのアジア/方法としての沖縄 ワークショップ「国家の犯罪、民衆の記憶」》が16日、沖縄大学で開催された。フランスの社会運動、脱原発運動、文化実践にかかわる政治哲学者アラン・ブロッサとアーティストのコリン・コバヤシとい沖縄初訪問の2人を迎えて、東日本大震災、沖縄の現状とも繋げての議論に、会場は静かな熱気に包まれた。

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Posted by 24wacky at 09:18Comments(0)OAM

2011年04月17日

この世界のありえない外側を考えること

「ナマ(今)とぅびぃん! オルタナ・クール」第10回



ゲスト:照屋勇賢さん(アーティスト)

録画:この世界のありえない外側を考えること 1-2
録画:この世界のありえない外側を考えること 2-2

沖縄県立博物館・美術館館長に公明党県本部顧問の白保台一氏が選ばれ波紋を呼んでいることについて。今回の人事には賛成できないが、たんにそのことを批判するのみでなく、美術館が街にあることの役割を改めて議論するよい機会なのではないか。美術館関係者が声を挙げて29日に開催する予定の集いには、県の関係者、美術館の関係者にも参加してほしい。

美術館はたんに絵画を飾るショールームではなく、外の複雑な事象を赤とか青とか単純化して現すことによって、気持ちを整理する場になるかもしれないし、見る人を政治や宗教などから守る空間にもなりうる。公的空間として個人の表現の自由をどこまで伸ばせるのかが問われている。

今回沖縄に来る前に約1ヶ月群馬県前橋市にアーティスト・イン・レジデンスで滞在していた。たまたま3月11日当日は沖縄に戻っていたが、東日本大震災を経験した。沖縄から群馬へ戻るときに沖縄のアーティストがいったことは「きちんと逃げる姿を見せて来い」という言葉だった。残って仕事をしなければならないというプレッシャーにさらされている市の職員もいるなかで、やはり自分を守るということは大切だ。

沖縄にいる時のほうが被災地からなるべく離れるべきだという海外からの情報などがよく入ってきた。ところが前橋に戻ると、拍子抜けするような変わらない日常がある。現地ではいろいろな関係性があり、「逃げる」という言葉を使うことに、自分勝手に聞こえるかもしれないこともあり、とても体力を要した。

9・11のときニューヨークにいたが、惨劇を前にしアーティストとして何もできず落ち込んだ。その経験もあったので、今回は冷静に事態をみることができた。

さっそく作った試作品は、被災地の状況を大きな写真と共に生々しく伝える群馬地元紙の一面に、切り込みをいれ立ち上げて芽が生まれ上に上ろうとしているイメージ。ぼくたちの感情とは関係なく破壊のイメージに誕生が重ねられる。

前橋のアーティストの中から被災地で創作したいという声が挙がった。義捐金を現地に送るよりも、その活動を支援するために使うのもよいのではないかということで、今回の試作品も地元のコレクターに買ってもらった。沖縄でもアートセンターというところが、アーティスト・ヘルプ・アーティストということで、被災地のアーティストに支援金を送る活動がある。

地震の後、高崎で群馬交響楽団の演奏を聴く機会があった。バッハの「G線上のアリア」の演奏後、拍手の代わりに1分間の黙祷を捧げた。そこに集まった様々な個人が共有する豊かな経験となった。自粛するのではなく、表現することの自由と解放を優先すべきではないか。

OAMサイトで連載中の「基地の無い沖縄をイメージするワークショップのためのメモ」でも触れている作品。「来るべき世界」は2004年沖国大米軍ヘリ墜落事件から生まれた。沖縄の人々がシャットアウトされた現場で、米軍の注文によるデリバリーピザだけは中に入ることができた。写生大会を企画し、105人の参加者にそのピザの箱の内側に、自分たちがみた現場の絵を書いてもらい、それらを一面に敷き詰めた。

絵を描いて残すという教育を子どもたちにしているのだろうかという疑問があったことと、選ばれた作家だけが飾られるのではなく、個人の存在として書いた絵が公的な美術館に飾られる、美術館とはそのような場所であるということを伝えたかった。参加した子どもたちが大人になったときに、「自分たちの描いた絵が美術館に展示されたのだ」と振り返ることの意義は大きい。

9・11米国同時多発テロの時にニューヨークの街は、星条旗で埋め尽くされた。国旗はバラバラだった国民を一つにまとめると同時に、そこに含まれない他者を排除する。「Color the World」は、世界169カ国の国旗を地理通りに配置し、一つの旗として表現した。色が渡り歩くように、国同士が理解し合い仲良くなる関係が生まれるのではないか。一つの旗の上でお互いが可視化されることによって、不安が消えるのではないか。

嘉手納基地のフェンスを挟んで自転車レースをするという企画を今立てている。ある地点で両者が交差し、力関係が無意味となる、競争が競演になる瞬間が造れないだろうか。

(文責・西脇尚人)  


Posted by 24wacky at 20:00Comments(0)OAM

2011年04月14日

「ナマ(今)とぅびぃん! オルタナ・クール」第10回予告

「ナマ(今)とぅびぃん! オルタナ・クール」第10回予告
OAM(沖縄オルタナティブメディア)

日時:4月15日(金)19時~21時

場所:カフェcello (那覇市泉崎)
(通常営業中に店内から中継します。トークを直接お聴きになりたい方のご来店歓迎です!)

タイトル:この世界のありえない外側を考えること
ゲスト:照屋勇賢さん(アーティスト)

作品「Color the World」が中学校美術の教科書に掲載されるなど、絶えず刺激的な作品を我々の前に発表するアーティスト・照屋勇賢。活動拠点としているニューヨークから帰沖中の彼に話を伺う。OAM連載記事「基地のない沖縄をイメージするWSのためのメモ」でも触れている照屋の創作姿勢。東日本大震災へのリアクションとしての新しいプロジェクト。沖縄県立博物館・美術館新館長問題など。  


Posted by 24wacky at 12:29Comments(0)OAM

2011年04月06日

旧友との思わぬ再会

NAM時代の友人Tさんと8年以上ぶりの再会をした。現在宇都宮在住のTさんは東日本大震災から沖縄へ家族で避難してきた。奥さん、3歳の娘さん、そして奥さんのお腹の中には2人目の子どもが。Tさんは仕事があるため来週にも単身宇都宮に戻るという。

Tさんから現地の状況を聞くにつけ、久々の再会で旧交を温めようなどと思っていたこちらが甘かったことに気づかされた。Tさんの言葉を借りれば「エゴイスティックに逃げてきてしまった」者として、まだ現地に残っている知人たちへの悔悛の念、危機的状況を伝えようとすればするほど変人扱いされる雰囲気への恐怖感、精神的にかなり不安定な奥さんとのアンバランス・・・。

「これまでしてきた自分の仕事がなんの役にも立たないことが分かった」と、学問の世界に生きる者として苦々しく語るTさんの表情が特に印象的だった。

前回まで転載したNAM環境系MLメールにもあったように、当時我々は原発に変わる再生可能エネルギーの市民発電をプロジェクト化するため、共に学び、議論していた。そのTさんとこんなかたちで沖縄で再会することになるとは想像だにしなかったことだ。  


2011年04月04日

放射性廃棄物の行方 その3

引き続きNAM環境系MLへの投稿過去ログから。

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『原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識』 
広瀬隆 藤田裕幸著(東京書籍 2000年)


第2章 核燃料サイクルと放射性廃棄物の行方


55 高レベル廃棄物処分の法律案の問題点

 膨大な問題を抱えた高レベル地層処分に対して、2000年3月14日、いかにして作業を進めるかという具体的スケジュールを定めた法案が閣議決定され、5月31日に国会で可決、成立した。それが、通産省作成の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案」であり、最終処分場をどこに決定するかという国家的作業が、2000年から本格始動した。

 この法案の問題点は以下の通り。

1)名称の問題

2)住民への配慮がない→処分する側の一方的な作業手順を定めただけで、住民側の安全をいかにして守るかという規則や罰則が、一つも定められていない。

 アメリカの「核廃棄物政策法」では、高レベル廃棄物の処分によって周辺住民に放射能汚染などの危険性が及ばないよう、「最終処分適地としての科学的条件」と「最終処分不能に該当する科学的条件」を、水質汚染・断層の有無・地質などに関して明確に定めている。

 ところが日本のこの法律は、そうした除外の科学的条件を数値によって定めず、いかようにも恣意的に解釈できる表現を用いて、内容を曖昧にしている。

 これでは、候補地の選択について周辺住民が疑問を抱いた場合に、「安全」を主張する処分者との間に科学的な議論をすることができない。つまり、、国の実質的な代理人である「原子力発電環境整備機構」が勝手に選択した場所を、一方的に判断し、住民に断りなく勝手に最終処分場にしてよいことになる。
 (※法律である以上、「最終処分適地としての科学的条件」と「最終処分不能に該当する科学的条件」を明確に定めなければならない。現在その数値を定めることができないほどの廃棄物処分研究データしか存在しないなら、こうした法律を定めること自体が誤りである。)

しかも通産大臣の命令によって、他人の土地に立ち入って標識を設置したり、測量、樹木の伐採、障害物の撤去などを、処分者が実行できるとしており、処分組織が起こしうる無法行為から住民を守るための規則と罰則が、実質的には何一つ定められていない。

3)処分決定の責任者が処分時に不在である

 最終処分場の操業は2030年から開始される。ところが30年後には、この危険な処分法を決定した責任者が誰ひとり高レベル廃棄物を管理する責任者ではなくなっている。 (※官僚は数年ごとの人事異動で、あらゆる問題でたらい回し・先送り行政に明け暮れてきた。処分場閉鎖の責任者が誰であり、いかなる形で責任をとるかを、法律で明確に定める必要がある。)

 処分に直面するのは、子や孫の世代である。
 放射能の寿命から考えて、高レベルの安全性は10万年間保証されなければならないが、保証する人間の寿命は100年もない。処分した民間会社は100年後には存在せず、国家が責任をとるにも、100年前の政府がした最終処分に対して、100年後の政府が責任をとるはずはない。

 したがって、今日通産省及び科学技術庁の官僚によって一方的に進められている高レベル廃棄物の処分計画自体が、倫理的に許されないことである。
 (※この法律案では、高レベルを深い地層に処分し、手放してしまう方法だけが唯一の「放射能の管理法」と考えている。ところが世界的には、ドイツ・アメリカをはじめ、大勢はこのような地層処分を断念する方向に移行しつつある。つまり、再処理せず、地上やごく浅い地中で埋めずに「使用済み核燃料」として管理し、万一に備えて取り出しできるようにしておく方法である。これで放射能問題が解決するわけではないが、少なくとも地底で手放してしまう無責任な方法ではない。)

4)最終処分所の選定が47都道府県に対して不公平で、科学的根拠に乏しい
 
 
56 使用済み核燃料の量
57 使用済み核燃料の現状

 97年に資源エネルギー庁の総合エネルギー調査会原子力部会から出された報告書で明らかになった事態→日本中の原子力発電所では、プールに使用済み核燃料があふれていた。→2000年時点でも、それは解消されていない。

 原発の貯蔵プールは「一時的に」貯蔵するためのものなので、2~4年分の貯蔵量しか設計されていなかった。これまでは、プールに一定の使用済み燃料がたまると、海外で再処理するために運び出されてきた。しかし、海外との再処理契約分が98年度に全て輸送を終了した。

 一方、それまでに六ヶ所村の再処理工場が完成し、そこの貯蔵プールへ運び出す予定になっていた。しかし日本全土で原発の事故と不祥事が相次いだため、六ヶ所村再処理工場への持ち込みが遅れ、原発に使用済み核燃料があふれることになったのである。


58 破局を回避するために考え出した三つの方法

 あふれる使用済み核燃料の対策として、主に3つの方法がある。

1)高密度貯蔵(リラッキング)→各地の原発では、これまで使用済み核燃料を入れていた容器(ラック)を改造し、燃料の間隔をこれまでの40センチから30センチへと狭め、容量を1.7倍にする方針を採用することになった。→再臨界の問題、冷却の問題がある。

2)乾式貯蔵→これまで電力会社は、強い放射線、とりわけ中性子線を防ぐため、冷却水を循環させる貯蔵プール方式(湿式)を原則にしてきたが、不安定なプールに代わる方法として、すでに92年から乾式貯蔵の検討を進めてきた。この方法は、ドイツをはじめとして、今後の主流になると見られている。乾式貯蔵では、使用済み核燃料の輸送容器(キャスク)と同じような、巨大な金属製の円筒容器に入れて貯蔵する。
→貯蔵容器の問題、冷却の問題がある。

3)巨大貯蔵プール新設→原子炉の運転を続けるため、これまでの原発の格納容器内プールではない場所に、巨大プールを建設する計画がある。

a. すでに完成した六ヶ所村の再処理工場プール。
 
b. 福島原発のように、敷地内に「共用貯蔵プール」を建設してしのぐケース。→しかしここでも再臨界と冷却の問題がある。さらに、共用プールでの最大の問題は、原発に隣接して、敷地に穴を掘って建設されていることである。 

c. 六ヶ所村でも原発敷地でもない、全く新しい地点での「中間貯蔵施設」の建設。


59 中間貯蔵施設という名の最終処分場

 高レベル処理が不能となる将来を見込んで、日本政府は99年6月9日、使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」を新設できるよう、急いで「改正原子炉等規制法」を参院本会議で可決・成立した。(2000年6月試行)

a. 中間貯蔵の期間
 中間値は、どれだけの期間か定義されていない。つまり、「中間」ではない。地元は、その管理をほぼ永遠に続けなければならない。

b. 候補地
 この施設の建設場所は、同法によれば、47都道府県のどこでもよいとされ、これまでの原発現地ではない場所が物色されている。しかし現実的には輸送効率上、原発現地からさほど遠くない地域が選ばれると考えられ、原発と中間貯蔵施設が一対となって、原子力発電所とほぼ同じ数だけ保管場所ができると推測される。
(※それでも、三重県の芦浜原発計画が、37年の反対運動の結果、2000年2月に計画を白紙撤回に追いやった社会状況、および電力自由化とエネルギー革命の進行速度から、これら中間貯蔵計画も早晩破綻する。鹿児島の誘致活動の場合も、2000年3月には、西之表市長が直ちに市議会で「誘致反対」を表明し、屋久島の屋久町議会が「反対決議」を全会一致で可決するなど、地元は一斉に反発している。)

<<(注)鹿児島県・種子島の西之表市の無人島(馬毛島)への中間貯蔵施設誘致活動に反対する運動の経緯が、星川淳さんの著書「屋久島水賛歌」(南日本新聞社)の第6章「原子の火を見つめて」の後半で描かれています。>>


60 廃棄物管理の原則

この『原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識』の著者は、放射性廃棄物管理の原則を以下のように提起している。

1)原子力発電所を可能な限り早期に停止して、処分不能な放射性廃棄物をこれ以上生産しないこと。

2)すでに海外で製造された高レベル廃棄物は、国民的な議論のもとに、47都道府県の電力消費量に比例して、公平に負担・管理すること。

3)すでに海外で製造された高レベル廃棄物を、見えない場所に埋め捨てることは許されない。発生者である電力会社の責任において自社内で地上管理すること。

4)運転中の原発から発生した使用済み核燃料は、放射性廃棄物とプルトニウムを増やす再処理をおこなわず(これは、燃料を一回だけ原子炉のなかを通して終わりにするという意味で、業界で「ワンス・スルー」と呼ばれ、世界的な動向となっている)、国民的な議論のもとに、47都道府県の電力消費量に比例して、公平に負担・管理すること。

5)全ての放射性物質は、最低限、掘り出したウランと同じ放射能レベルに下がるまで、発生者である電力会社が放射能をモニターしながら、責任を持って管理すること。(なぜなら、1984年以来、放射性廃棄物の処分には問題がないと、誤った主張・PRを展開してきた責任者は、電力会社だからである。)


61 これからの原子力産業
<<略>>

(了)
  


Posted by 24wacky at 20:46Comments(0)アソシエーション

2011年04月03日

放射性廃棄物の行方 その2

引き続きNAM環境系MLへの投稿過去ログから。

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『原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識』 広瀬隆 藤田裕幸著(東京書籍 2000年)

第2章 核燃料サイクルと放射性廃棄物の行方


49 金属容器+ガラス固化体の寿命

・キャニスターは、厚さ数ミリメートルのステンレスの容器である。内部の高レベル廃棄物が1万年にわたって放射能を出し続け、当初の表面温度が280℃にも達する高温であるため、その熱を逃がすために金属を薄くしなければならないからである。ステンレスがこのように薄く、放射能と熱による過酷な作用も受けるため、過去アメリカにおける耐食性ステンレスの漏洩事故から推測して、その寿命は長くて数十年以内、最悪の場合には数年以内に部分的な損壊が発生することも予想される。(六ヶ所村の貯蔵庫に運び込まれた高レベル廃棄物は、最終処分場が計画通り2030年に操業を開始すれば、その新しい土地に搬出するが、しかし、30年後に現在の地下貯蔵庫から取り出すとき、キャニスターが果たしてどのような状態になっているか。すでに、貯蔵庫内で放射能汚染を起こしている可能性もある。)

・このような欠陥がなく、理想的な場合でも、全ての金属は最終的にぼろぼろに腐食して、最終的には地中で影も形もなくなって消失する。その時、内容物はガラス固化体であるから、埋め戻された地中深部の高い圧力を受けて、ただちに粉々の状態にまで破壊され、そこから放射性廃棄物が全量、地層に出てくる。

 したがって、現在国際的に懸念されている汚染スタートの時期は、1万年後ではなく、長くて数十年という短期間で、金属容器が破壊しはじめたときから起こりはじめるのである。金属技術者の概念では、この過酷な条件で数十年耐えられるステンレスの容器はない。

・なぜ、脆いガラスに固めるようになったのであろうか。

 放射性物質は、毎日原子核が崩壊し、放射能を出しながら物質がどんどん変わっていくので、結晶構造が一定ではない。しかも原子炉で生まれる放射性廃棄物は200種類を超える核種の混合物であるから、一定の構造を持つ結晶として固体に閉じこめることは不可能である。

 それに対して、ガラスは非晶質であり、結晶構造はなく固体になってくれる。それでガラスを選んだわけである。

・しかし、放射性物質が閉じこめられたガラス内部では高熱が生まれている。熱したガラスに水をかければひび割れする。こうして、地層処分では、ステンレスキャニスターの腐食を促進し、ガラスをバラバラにする地下水が最大の問題となる。


50 地下水の作用

 Q:地下水が高レベル廃棄物に接触しないようにするには、どうすればいいか。

 A:地下水のない深い地層に埋めればよい。しかしこれは現実の作業では、あり得ないことがわかっている。

 地層処分とは、縦穴を掘るところから始まるが、地下水のない深い地層に達するまでに、途中に二層か三層の地下水層を貫通して穴を掘らなければならない。これは高レベル廃棄物を埋める時点で、すでに縦穴と横穴には大量の水分が侵入することを意味する。


51 高レベル廃棄物の発熱作用

 もう一つの問題が、深い地層で高レベル廃棄物が発生する熱である。その熱が内部にこもり、岩盤を膨張させれば、自ら岩盤に亀裂をつくる可能性が高い。

 また、高レベル廃棄物の表面温度は、百年後でも200℃近い高温であるから、その熱によって一帯の地下水が沸点を超えることが予想される。こうした地下水が温泉のような水蒸気になれば、地層中を高速度で浸透し、大量の腐食性元素を取り込みながら埋設地点に到達する。その結果、もっともおそれられているキャニスターの腐食を急速に早めることになる。


52 廃棄物の処分コストは

 日本の放射性廃棄物処理の総コスト

・高レベル廃棄物の発生量は、2027年までに4万本の国産キャニスター(ガラス固化体)に匹敵する。これを保管してきた六ヶ所村の日本原燃の保管料の実績では、有価証券報告書に従えば1本あたり8.5億円を出費している。
 つまり、保管料は 4万本×8.5億円=34兆円、である。

・通産省報告によれば、高レベル廃棄物の地層処分コストが約3兆円である。

・日本原燃は97年3月末で、負債残高が1兆円を突破した。この負債は、日本開発銀行や北東公庫などが貸し付けたもので、これを債務保証してきたのが電力9社、つまりは電気料金である。

《・ちなみに、96年におこなわれたアメリカ政府の試算では、「国内の放射性廃棄物の汚染除去対策に、今後75年間で最大3900億ドル(当時の46兆8000億円)が必要」という金額が出されている。(これら廃棄物の多くは、マンハッタン計画以後の核兵器開発によるハンフォードやオークリッジの汚染コストである。)》


53 電力会社の負債総額と債務保証

 世界最大の電力会社、東京電力は、95年5月に、有利子負債が10兆円という天文学的な借金財政を記録し、その借金の利子までも電気料金として消費者に負担させながら、一方では同年3月決算で、経常利益2000億円という日本一のもうけを記録した。

 東京電力の電気料金には、この10兆円の借金の利子ほぼ4%の支払いが含まれ、消費者は先進国で最も高い電気料金を請求されている。(年間一人1万円分の電気料金が利子の支払いに充てられている。)

 原発を持つ電力9社の合計負債残高は、旧国鉄をしのぐほぼ30兆円に達し、上場企業の1/6を占めている。


54 日本の処分候補地の反対状況

 地震と断層だらけの国で、どこにも危険物を埋める場所はなく、最終的に受け入れる住民もない。それでも、最終処分場は国によって決定される運命にあり、すでに10数年にわたって、全国で住民の反対運動が展開されてきた。
 2000年までに残った候補地は、北海道の幌延町、岡山県の人形峠、岐阜県の東濃鉱山一帯、そして青森県六ヶ所村の4地点に絞られている。


(つづく)
  


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2011年04月01日

放射性廃棄物の行方

引き続きNAM環境系MLへの投稿過去ログから。

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『原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識』 
広瀬隆 藤田裕幸著(東京書籍 2000年)


第2章 核燃料サイクルと放射性廃棄物の行方


43 廃棄物の発生量と保管能力は

1) 日本がフランスとイギリスに再処理を委託したため、そこで取り出された高レベル廃棄物は、全て日本に返還される契約になっている。その第1弾が、1995年4月26日にフランスから返還され、以来、六ヶ所村に高レベル廃棄物がガラス固化体として次々に運ばれてきた。2000年2月までの返還量は、固化体272本にも達した。今後十数年間で、三千数百本を六ヶ所村に搬入するとされているが、フランスとイギリスに輸送した使用済み核燃料7100トンから計算し、2015年までに3500本のガラス固化体が全量返還されると仮定すると、毎年220本の割合で貯蔵庫がふくれあがっていく。

2) 100万キロワット級の原発が稼働率80%で運転すると、キャニスターほぼ30本の高レベルが発生するが、これに各地の原発の稼働率(過去の実績)を当てはめて計算すると、国産の高レベルキャニスターに換算して1万7000本分の放射性廃棄物が発生している。

3) しかし、六ヶ所村の第1貯蔵庫は、総量で1440本しか収納できない。フランスとイギリスに使用済み核燃料を送り、あるいは六ヶ所村で再処理しようがしまいが、プルサーマル計画でプルトニウムを利用しようがしまいが、キャニスター1万5000本あまりに相当する大部分の高レベルは日本全土の原発に氾濫する。

4) その量は今後さらに増加し、原発の運転寿命を30年と設定すれば、東海第一原発(98年廃炉)を含めた原発52基の分だけで、2027年には国産キャニスターに換算して4万本分に達する見込みである。(フランス・イギリスのキャニスターは、国産のほぼ2倍の放射能濃度なので、本数は半分になるが、危険度が高い。)

5) そのため六ヶ所村では、第2貯蔵庫が建設されているが、これを合わせても2880本しか収納できない。2005年に第1貯蔵庫が、続いて2007年には第2貯蔵庫も満杯になる予定である。


44 青森県に持ち込まれる理由

 その高レベル廃棄物が海外から六ヶ所村に入る正当な理由がないところに問題がある。なぜなら、国策では、青森県は高レベル廃棄物の「最終処分場」ではない。青森県議会も最終処分場にすることを拒否決議しているからである。84年4月に発表された計画では、最終処分場は北海道幌延町とされていたが、北海道がそれを拒否し、日本全土に受け入れ場所がどこにもないがゆえに、六ヶ所村に運び込まれているのであるに過ぎない。


45 高レベル廃棄物の保管法・処分法とは

 原子力発電をスタートしたとき、世界中で高レベル廃棄物問題は未解決であった。アメリカは直ちに研究に取りかかり、数々の方法を検討したが、、しかし結論は、不可能ばかりであった。

1)ロケットで宇宙へ打ち上げる → 打ち上げに失敗すれば放射能が全世界を包む。

2)無人島の専用ビルに収める、または3)深海に投棄する → これはその海域に住む人の危険性を無視した身勝手な話で、当然、南太平洋諸国からの猛反対を受け、国際条約で全面禁止となっている。

4)南極の氷山に埋める → 氷山と岩床の間には、凍結せずに流動している水の層があり、放射性物質が海中に出てしまうことがわかり、59年の国際条約で禁止された。

5)閉鎖原発と共にコンクリートで固める → その土地は永遠に危険地帯として使えなくなる。

6)中性子をぶつけて核反応をおこし、短い寿命の放射性物質に変える、または7)核融合によって短い寿命の放射性物質に変える → 200種類を超える放射性元素を分類しなくてはならず、商業的に不可能。しかもごく一部の物質しか短い寿命にならないので意味がない。

こうして地中に処分する方法が残った。

8)地下2000メートルの洞窟に高熱の廃棄物溶液を流し込む → 裸で高レベル廃棄物を流し込むほど危険なことはなく、廃棄物が計算通りに分散しなければ、核爆発する可能性がある。

9)深井戸に流し込む → 泥から生成された頁岩に500メートル程度の深い穴を開け、高圧の水を送って裂け目をつくってから水をくみ出し、その後、液体廃棄物に灰とセメントを混合してどろどろの状態で流し込み、岩の間でセメントを層状に固まらせる。ソ連(ロシア)は、低レベル廃棄物をこの方法で大量に処分してきたが、この方法が不安定で危険であることはいうまでもない。

10)地下1万メートルのマントル層に埋める → 人類はまだこの深さまで穴を開ける技術を持たない。

11)廃坑(鉱山か岩塩坑)に埋める → 高レベルの地層処分でもっともおそれられているのは、地下水の汚染であり、鉱山も岩塩坑も複雑に地下水が流れており、可能性がない。

12)地下1000メートル程度の地層に埋める → これがベストなのではなく、他に何も考えつかないからという理由でこの方法が残った。


46 世界の地層処分計画と現状

・ドイツ → 地層処分は現在全くの白紙。そのため、ガラス固化体ではなく、原発からでた使用済み核燃料をそのまま巨大な金属容器に入れて、そのまま地上保存する方法に移行しつつあるが、莫大な容器コストを要するため、遅々として進まない状態にある。
・スウェーデン → 地層調査さえ住民投票によって拒否されている。
・スイス → 住民投票によって拒否。
・カナダ・イギリス → 全く計画が進んでいない。


47 アメリカにおける地層処分困難の現状

 日本で誤って報道されているように、「アメリカでは地層処分が進められている」のではなく、歴代大統領が任期中はこの解決不能の問題に触れないように先送りしてきたのである。現実は、全く見通しが立たないまま、電力会社の使用済み核燃料管理コストが膨張し続け、それを国の財政で補助しながら、かろうじて原子炉の運転を続けている。


48 日本での処理は

 日本では、高レベル廃棄物をガラス固化体として金属キャニスター容器に注入した後、これをオーバーバックと呼ばれる炭素鋼と緩衝材で包んでから、地層に埋めることになっている。

 地中には、縦坑を掘り下げてから、300~1000メートルの深部に横穴を多数掘り進め、そこにキャニスターを運び込んで、最後には、横穴・縦坑とも埋め戻す、という計画である。つまり穴をふさいでしまうので、地中で万一の汚染発生時の、汚染防止対策を全く持たない。

 これまで科学技術庁と動燃(核燃機構)および原子力委員会、原子力安全委員会の高レベル廃棄物関連の専門部会は、「岡山県・人形峠周辺や岐阜県・東濃鉱山周辺における花崗岩、あるいは北海道・幌延町における泥岩・砂岩などの堆積岩といった地層の種類に関わらず、人工バリア(ガラス固化体+キャニスターのステンレス+オーバーバックの炭素鋼+緩衝材)と、天然バリア(地層処分される現地の岩石あるいは土壌)によって、放射能物質が住民の生活圏には拡大せず、生活用水に侵入するそれはないことを確認した」という趣旨の説明を繰り返してきた。

 しかしこれは、世界中で実証されてきた高レベル廃棄物の地中汚染の可能性を無視したもので、研究史の浅い日本には、化学的に根拠のあるデータは、ほとんど存在していない。

 むしろ逆に、ドイツのゴアレーベン最終処分場の担当官が、「日本のように地震が多発する地層に高レベル廃棄物を処分することは考えられない」と、原子力産業界から警告されるほど、常識を越えた危険な処分であると批判されている。

(つづく)  


Posted by 24wacky at 23:57Comments(1)アソシエーション