2019年08月07日
『火口のふたり』白石一文
荒井晴彦が脚本と監督をするということで、その対策として読む。
主人公・賢治の一人称により従妹の直子との再会から、お互い相性のいい過去を思い出すように溺れる。賢治は妻子持ちだったが浮気が原因で離婚、自分で起こした会社も倒産寸前。直子は自衛隊員の年上の男との結婚式を目前に控えていた。東日本大震災後の閉塞感を富士山噴火前夜というカタストロフへと連結し、二人のまぐわいの〈いま・ここ〉の情感を隠喩させる。ダメ男からみた自由だが現実的な女という男目線の構図に真新しさはない。
という小説の通俗性を荒井晴彦がどう映画的文体として造るか。そこに注目している。
『火口のふたり』
著者:白石一文
発行:河出書房新社
発行年月:2012年11月20日
2019/06/08
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2017/09/02
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Posted by 24wacky at 20:05│Comments(0)
│今日は一日本を読んで暮らした