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2017年09月03日

演劇を教える/学ぶ社会 平田オリザ『現代思想 八月号「コミュ障」の時代』より

『現代思想 八月号「コミュ障」の時代』

 平田オリザは演劇を日本の教育に取り入れる実践において、まず「会話」(conversation)と「対話」(dialogue)を区別することから始める。「会話」は価値観や生活習慣なども近い者同士のおしゃべり、「対話」はあまり親しくない人同士の価値観や情報の交換、というように。日本では歴史的に「対話」が概念として希薄であり、人工的なものであるあるからこそ、教育で身につけさせなければならない。

 日本の教育は、価値観を一つにする方向の「一致団結型」が主流だったが、多数派と少数派をつくり、前者が後者を排除する構造を生み出す。

 学校現場で子どもたちは「みんなで一致団結してよかったね」という方向に落としどころを見つけようとする。そこで平田は「フィクションの力」を使って、子どもたちの意見が別れざるをえないように仕向けるという。

『現代思想 八月号「コミュ障」の時代』
発行:青土社
発行年月:2017年8月1日


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