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2016年12月11日

『故 道場親信さんが遺してくれたもの 戦後日本の社会運動と生活クラブ』

 「ブックレット刊行記念特別研究会 故 道場親信さんが遺してくれたもの 戦後日本の社会運動と生活クラブ」という催しが、12月10日世田谷区の生活クラブ赤堤館で行われた(主催は市民セクター政策機構)。この9月に逝去した社会運動研究者の仕事の意義について語り合うため、多くの生活クラブ会員が集まった。

 メインスピーカーの柳下信宏さん(生活クラブ神奈川)は、道場さんの社会運動研究から学んだこととして、次の6点を挙げた。1)ネオリベラリズムに対抗し、個人の尊厳を守ること、2)経験に学ぶこと、3)場/つながりの重要性、4)被害者・加害者連環、5)働き方/生き方の問題の取り組みの必要性、6)古典的な結社である労働組合と協同組合の評価。

 1)はたんに個人の優位を説いているのではない。道場さんが強調しているのは、個と共同性の両者を同時に押し流していく巨大な力=グローバリズムに抵抗するために、異なる個体性/共同性の模索を進めることである。それによってこその3)であり、そのために2)が必要であるということであろう。道場さんの仕事は2)の実践としてあったともいえる。

 柳下さんは道場さんによる戦後社会運動の三つの史観の区分けを紹介した。時代順に、革新史観、市民運動史観、そして新しい社会運動史観という順序で。市民運動史観は革新史観を批判し乗り越える姿勢があるが、新しい社会運動史観は、「新しい」/「古い」という単純な腑分けで前時代との切断を強調する。過去の運動経験に立ち返って、その潜勢力の読み直しから別の想像力を志向した道場さんはそれに批判的であった。他方で、近著『下丸子文化集団とその時代』では、「ヘタクソ万歳」のガリ版詩を切り捨てず、人と人とのつながりが生み出すことと、一人の「工作者」が実現し得たことの両義性を丁寧に読み解いた。

 ブックレットを編集した高瀬幸途さんは、日本の社会運動は50年代の闘争から一貫して青年運動であり、道場さんの仕事も若き研究者による青年運動の研究であったといえるが、社会の人口構成も変化し、年寄りの社会運動をどう構想していくのかと、自身の階層から問題提起をした。

 生活クラブを誕生させ、現在は市民セクター政策機構顧問の岩根邦雄さんは、道場さんが生活クラブの可能性を評価していることについて、班別共同購入などの活動だけでなく運動をしてこその生活クラブであるがそうなっていないと現状を自己批判した。

『戦後日本の社会運動と生活クラブ』
ブックレット『戦後日本の社会運動と生活クラブ』

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